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 人の立場は複雑

 

― 賛成反対をめぐって町民同士のトラブルは

 

激しい口論や取っ組み合いの喧嘩、町民同士のトラブルというのはほとんどなかったのではないでしょうか。賛成としていた人でも最後には、みんなで決めたことなんだからこの結果でいいんじゃないかと。どうしてもしがらみがあって賛成していた人の中にも、反対の結果が出て安心した人もいると思います。東日本大震災の前にはほぼみんな解消していたと思いますが、あの震災を経て確信を持ったんじゃないでしょうか。巻町は正しい選択をしたんじゃないかと。

 

―「実行する会」の代表、そして町長を務めた笹口さんとは

 

原発推進派として表に立って動いた人でも、何かの会合で会えばお互いに声を掛け合います。住民投票が終わって、少したったある宴会で、お酒をついで回っていたら、下を向いているおじいさんのところに来ると、「あんたテングになってるかもしれんけど、あん時は仕方ねかったんだよ」と。推進派だった議員さんに一年ちょっと前に会った時に「あの時はすまなかったのぉ」って。人間の立場というのは非常に複雑です。商店や飲食店の人、そこに納めている人、建設会社の人、その取引先の人、表面上で賛成と言っている人も家族はまた違ったりと…。本音を表してそのまま生きていける人と、生活上いろいろな事情があってそうはいかない人もいます。その人の言うことを表面で捉えればいいのか、推測したり、わざと推測しなかったりしなければいけないと思います。

インタビューページ10

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