住民投票条例の制定へ
町議選への挑戦
インタビューページ6
― 自主管理投票から、今度は町議選へ。「実行する会」としては
この時は立候補者が乱立しました。推進派の現職もほとんどでましたし、反対派の人たちも出ました。「実行する会」も3人の候補者を立てて、2人が当選しました【註6】。「実行する会」は、原発建設に対して「住民投票条例」を制定し町民の意見を聞いて決めるべきだという大きな争点を掲げました。自主管理投票を行いましたが、佐藤町長からは「正式な民主主義のルールにのっとっていない、法的根拠がない」と言われましたので。この選挙期間中に全候補者に対して住民投票条例制定についてのアンケートを実施しました。「賛成」「反対」「答えない人」をハッキリさせ、それを一覧にして全住民に配ったんです。やっぱりファジー(曖昧)なことを言って当選する人もいるわけですから。
― 地元紙「新潟日報」でも最近の地方議会選挙時にありましたね
あれは多分に私たちのアドバイスもあったんじゃないでしょうか(笑)。それから私たちは潤沢に資金があるわけではなかったですから、いろんな人に協力、支援してもらいました。看板は材木屋さんから材料をカンパしてもらい、文字は「実行する会」のメンバー二人が書き、ペンキ代も負担してくれました。普通の選挙だとウグイス嬢とかはお金を払うでしょう。そういったのもボランティアで協力してもらいました。
あとは巻高校の生徒もボランティアで来てくれました。それと巻高校の中でも住民投票をやったんですよ。
― 若い世代にとっても関心事項になっていたんですね
その時の巻高校の生徒会長は女性だったんですが、卒業後、早稲田大学に行って新潟県警に勤めたそうです。
― 選挙の結果は
議会定数22のうち、住民投票条例制定派が12人当選しました。しかし、その後、「実行する会」が住民投票条例制定に賛成するとの覚書をとって推薦した人も含め2人が議会工作で、原発推進に寝返ったんです。そうすると議会勢力は条例制定派が10、条例反対派が12となりました。
― では、住民投票条例の制定がまた難しくなった
そうなるかと思われていたんですが、町議選後の6月議会で条例は可決されました。笑い話のようでもあるんですが、ある議員がひとり書き間違えたんです。
― 書き間違え(笑)
どういうことかと言うと、本議会にかける前に委員会にかけるんです。その結果を、議会にかけて賛否を問うわけです。委員会では、住民投票条例制定に◯か×か。そして、制定に×が出る。しかし、議会では、委員会の結果に○か×と問われます。ですので、小委員会で×と書いた人は、議会では◯と書かなければいけないところを間違えたようなんですね。
― そんなことってあるんですね
しかし、住民投票条例では「施行から90日以内に実施」としていたところ、町長と原発推進派議員は「町長が議会の同意を得て実施」と改変したんです。
― ほんとに一進一退の攻防ですね
「実行する会」としても、このままでは12月議会で町有地の売却もあり得るという危機感を抱き、町長のリコール運動を行うことにしました【註7】。